一級建築士事務所 田建築研究所 ATELIER"DEN"

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断熱方法についてどのように考えていますか?

2015.7.14

材料性能、形状、設定ラインが大事

断熱のコントロールはその機能を持つ材料の性能と気密化、建物の形状(つまり建物の表面積)、断熱ラインの位置(構造体の内側か外側か、居住エリアと外部との距離)の検討が主となります。材料とは大きくは断熱材と、開口部の建具の種類と構成になります。

  1. 断熱材について

    大きく分けて自然素材系、プラスチック系、鉱物系があります。これらは施工する場所に応じて使い分けられます。

    a.自然素材系
    木材繊維を主原料としてつくられた断熱材です。断熱性能のほか、吸放湿効果があります。施工現場で直接吹き込む工法に適していると言われています。
    b.プラスチック系
    プラスチックを発泡させた断熱材です。薄くて、軽いうえ、高い断熱効果があり、吸水性がないため、結露防止効果も期待できます。
    c.鉱物系
    ガラス原料や鉱石を溶かして繊維にした断熱材です。経済的で扱いやすいため、もっとも多く使用されています。(吸水性があるため入念な防湿施工が必要になります。)
  2. 建具の種類と構成について

    a.開閉方法の種類
    「引き違い」、「上げ下げ」、「外倒し」、「横滑り」、「縦軸回転」といったもの等がありますが、一般にレールの上を横にすべるタイプは気密性が他よりもどうしても悪くなります。
    b.枠の材料
    「木製」、「アルミ製」、「スチール製」、「ステンレス製」、「樹脂製」があります。断熱性の観点からだと、熱伝導率の低い「木製」、「樹脂製」が有利です。(防火上の法的な制約を受けるケースが多いので、これらはその基準を満足したものでなければ使用できません。)
    c.枠にはめられる材料
    光や景色を取り込むという材料に限ると、「ガラス製」、「樹脂製」が考えられます。材料のみの比較では大差ありませんが、{ガラス製}にはさらにバリエーションがあり、遮熱効果のあるガラスや、複層にしたものが材料単体よりも断熱効果があります。複層の中間層も空気を入れたものからアルゴンガスを封入したものまであり、費用対効果を考え、適材適所の選択が必要かと思います。(上記同様、法的制約を受ける場合、注意が必要です。)
  3. 建物の形状について

    同じ容積でも建物の表面積が異なれば断熱対策も異なってきます。これは建物環境のつくり方に左右されますので、表面積の大小が温熱環境の良し悪しと単純に結びつかないのですが、表面積が大きければ外部(あるいは外部から見れば内部)の影響を受けやすくなり、小さければ影響は少なくなります。(ドイツではこの影響を考慮した指針を出しています。)
    つまり、内部環境と外部環境の評価の仕方で断熱対策も変わってきます。(空調前提の夏期や冬期は内部環境の方がよい場合が多いでしょうが、空調のいらない中間期は外部環境の方がよい場合が多いのでは、といった評価です。)

  4. 気密化について

    空気の流入による熱のやり取りを最小限にするため、隙間をなくすことは有効です。

  5. 断熱ラインについて

    a.内断熱
    構造体の内側もしくは構造体のすき間に断熱材を充填する方法。安価で施工も容易なため非常にポピュラーな方法ですが、断熱ラインが内部空間のすぐ近くなので断熱材次第では外部環境の影響を受けやすくなります。また、構造体等で断熱が分断され、構造体そのものが外部環境にさらされることになり、ヒートブリッジ等により内部結露を誘発するリスクが高く、充填材も吸水性がある場合、これらの排出ルート(後述の通気層)を確保することが不可欠です。充填断熱材には室内側に防湿フィルムがついていることが多く、これを隙間無くしっかり施工すれば次世代省エネ基準を十分満足できる仕様となります。
    b.外断熱
    構造体の外側に断熱材を貼り付ける方法。内断熱の短所を補う効果が期待できますが、壁が厚くなること、構造体の外側に断熱材があるので構造体から外壁仕上げが離れるため、重量の重い仕上げ材は不向きです。(例:漆喰等の左官壁、タイルや石壁等)
    c.居住エリアと外部との距離
    建物には人が常にいる空間(ダイニング、リビング等)といない空間(納戸、水廻り等)があります。人がいる空間を居住エリアと呼び、これを周りに人のいない空間を配置することで外部からの影響を受けにくい環境とすることが可能になります。この場合、人のいない空間が広い意味で断熱層となっていると考えられます。