結露のコントロールについてどのように考えていますか?
2015.7.14
水蒸気を少なく、温度差を少なく、備えが肝心
結露のメカニズムは温度ごとに許容される空気中の水蒸気が、その許容量を超えたときに水蒸気ではなく水に変化してしまうことです。水蒸気の許容量は温度が低くなればなるほど少なくなります。ある一定の空間の中でも温度の低いところと水蒸気が多く分布しているところで結露は発生しやすくなります。
したがって結露のコントロールは、
- 温度の低いところをなるべくつくらないようにすること
- 水蒸気を多く発生させないこと
- 仮に結露しても湿気に耐える素材にすること
- 水蒸気を滞留させないようにすること、発生した水蒸気を排出できるようにすること
これが現実的な方法だと思います。
また、建物における結露の問題は大きく2種類あります。1つは室内結露(窓面の結露等)、もう1つは壁体内部結露(壁の中で発生する結露)です。
室内結露対策
- a1.温度の低いところをなるべくつくらない方法-1→気密化
- 断熱が施されていることが前提ですが、外部と内部との間で空気のやり取りをなくすことで、外部と内部の温熱やりとりをなくします。このことでのムラは軽減できます。
ただ、内部水蒸気環境は内部に人等がいることで刻々と変わっていきます。ゆえに、後述のd1計画換気とセットで考える必要があります。 - a2.温度の低いところをなるべくつくらない方法-2→対流促進
- お風呂のお湯をかきまぜるがごとく、シーリングファンや機械換気システム等により空気を撹拌します。
- a3.温度の低いところをなるべくつくらない方法-3→居住エリアの保護
- 建物には人が常にいる空間(ダイニング、リビング等)といない空間(納戸、水廻り等)があります。人がいる空間を居住エリアと呼び、これを周りに人のいない空間を配置することで外部からの影響を受けにくい環境とすることが可能になります。この場合、人のいない空間が断熱層となっていると考えられます。
断熱と同様の考え方ですが、居住エリアを外部から切り離すような計画であれば温度差は大きく生じません。 - d1.水蒸気を滞留させない、発生した水蒸気を排出する方法-1→計画換気
- 機械換気システムにより、余分な水蒸気を排出します。
壁体内部結露対策
これは(1)の室内結露が比較的目に見えるところで発生するのに対し、通常は目に見えません。また、環境をコントロールできる内部側ではなく外部側で発生するため、ある程度結露の発生を想定した場合の措置を講ずる必要があります。(1)のaのコントロールは事実上不可能だとすると下記の対策になります。- c1.湿気に耐える素材にする方法-1→プラスチック系断熱材の採用
- <断熱方法についてどのように考えていますか?>でお書きしたように断熱材は空気を内包させるため多孔質で、湿気を含みやすい構造になっています。この多孔質の穴を細かくしたのがプラスチック系です。ただ、これ単独では他の材料も含めた内部結露ケアになりません。
- d2.水蒸気を滞留させない、発生した水蒸気を排出する方法-2→通気導入
- 躯体内部に通気層を設け空気を循環させることで水蒸気だけでなく、発生してしまった結露による湿気も排出できるよう考えられた工法です。空気の循環方法は強制と自然とありますが、いずれにしても内部結露対策はこの通気工法がもっとも効果的だと思います。われわれはすべての建物でこれを標準仕様としています。