一級建築士事務所 田建築研究所 ATELIER"DEN"

一級建築士事務所 田建築研究所 ATELIER"DEN"

Menu

設計事務所とハウスメーカー、設計施工工務店(あるいは街の大工さん)との違いは何ですか?

2015.7.10

利害関係のない公正なクライアントの代理人

われわれ設計事務所の業務は「"もの"を造るための図面や仕様を決定し、その図面や仕様に沿って"もの"が間違いなく造られているかをチェックする。」ことです。
ハウスメーカー、設計施工工務店との最大の違いは、他の何の束縛もなく純粋にクライアントの代理人として、計画や工事を推進する立場であるということ、です。
このことの利点は、計画段階、見積段階、工事中、竣工後で違いがはっきりしてきます。
それゆえ、公共工事では設計監理業務は独立した業務として発注することが前提であり(監理業務を別にすることもあるほどです。)民間においても一般的な発注形態といえると思います。住宅だけが少し特殊なのかもしれません。

・計画段階

設計事務所には、ハウスメーカーの標準仕様や設計施工工務店の流通優先仕様のように束縛(あるいは意識)するものがないことから、クライアントの要望を客観的に検討でき、より自由度の高い提案が可能になります。
*この標準仕様、流通優先仕様がハウスメーカー、設計施工工務店(以下、彼ら、とします。)のアドバンテージであり、「坪30万円。」等の単価の前提条件となっています。この仕様からはずれることは、クライアントの負担はもちろん、彼らの利益率低下につながるだけでなく、標準外の作業による設計や施工手間が増えるため、彼らから積極的に提案することは少ないと思います。
また、「設計料無料あるいはサービス」というのは、上記理由から設計の手間を少なくすることが前提としてあり、狭小敷地や変形敷地への合理的設計や完全フルオーダーの世界にひとつしかない建物の実現等、手間のかかる事案には特に不向きかと思います。

・見積段階

実施設計が完了すると見積作業に入ります。設計事務所でも見積はしますが、実際に建物を造る側の施工者から見積を出していただき、それを査定することが多いです。公的資料や過去のデータに基づき、金額の査定するのですが、1社ではなく複数社から"同じ条件"(これが大事です。)で見積をとり比較査定する相(あい)見積が一般的です。
*ハウスメーカーや設計施工工務店では相見積をすることはほとんどありません。設計と施工が不可分であることが大きな理由です。単価や数量等は彼らの基準で決まりますので、「~工事一式」といった見積項目も多くなり、適切なものかどうかの判断が困難になります。結果、実勢より高価になったり、工事範囲が不明瞭(あるいは説明不十分)な場合もあり、トラブルにつながりかねないと思います。

・工事中

工事期間中、設計事務所は図面、仕様の通りに施工できているか、のチェックを行います。つまり、造り手である施工者に対し、問題点等があった場合、指示指導する立場となるわけです。追加や変更が発生した場合の増減額の事前合意もそのつど確認しつつ前に進みます。
*ハウスメーカーや設計施工工務店は建前上、監理者(工事管理者とは異なります。)は存在します。ただ、指示指導する側とされる側が元は同じなのです。適正な監理かどうかは確認することもかないません。追加変更についても説明不十分なままになる場合も多いようです。

・竣工後

建物が完成して引渡し後、設計事務所では、構造規模あるいは自主規定により定期検査を行いますが、そのとき以外でも、不具合等のクレーム連絡網の窓口になることが多いと思います。(当方ではそうしています。)その不具合の種類、程度、原因を確認し、瑕疵の有無を判断し適正な処理に導きます。
*ハウスメーカーや設計施工工務店はクレームの当事者になることが多いため、確認、検証、処理に及び腰になることも多く、非常に時間がかかります。(責任の所在があいまいなままクライアント負担工事となるケースもあるようです。)