建物の設備や環境コントロールをどのように考えていますか?
2015.7.14
機械と自然をバランスよく
兼好法師の言をひくまでもなく、本来、建物のありよう("骨格")は、快適性を左右するものでした。機械による環境制御の技術により、そのありよう("骨格")を意識することなく快適な環境を獲得できるようになりました。快適性だけでなくデリケートな建物機能(病院や博物館等)充足や、個々人のライフスタイル(夫婦共働き、アレルギー持病等)、建物の立地環境(騒音や空気汚染、防犯等)への回答が可能になりました。
技術の進歩の積み重ねは、利用者の際限のない快適性の欲求を満たしましたが、機械環境の制御は制御エリアとそれ以外の快適性の差をどんどん広げていき、制御エリアに慣れてしまった人々の環境抵抗力の低下を招く一因ともなってしまいました。また、その快適性も暖かさ、涼しさ、明るさ等偏ったものとなり、そよぐ風や虫の声、雨の匂い、月あかり等の「細やかな心地よさ」を忘れがちになっているような気がします。
この機械環境制御を無批判に受け入れてきたことは、これまで設備は"骨格"構想に初期段階から深くかかわることがあまり多くなかったことと無関係ではないと思います。
われわれは上述の「細やかな心地よさ」を利用者のみなさんに思い出していただく対話を怠ってきたのかもしれません。このことを機械制御の恩恵とあわせてお伝えし、より効果的に実現できる建物の"骨格"の構想を、機械の良さを加味した総合的な"設備"の視点からも考えられるような手順を考えていきたいと思っております。